Googleの国内登記完了後の運用

サムネ・アイキャッチ

Googleの国内登記が完了

2022年7月7日付で米国法人Google LLCが会社法817条・817条に基づく日本国内登記を完了いたしました。

従前、Googleに対して裁判を提起する場合には、米国での法人資格証明書が必要となり、また訴訟の場合には長期間を要する外国送達等の手続きが行われるなど、負担が大きかったところですが
国内登記の完了により、通常の日本法人と同様に日本の法務局が発行する登記事項証明書を資格証明書として用意すればよく、送達等に関しても日本登記がなされている国内の住所に行えるようになり大幅な迅速化が実現いたしました。

 

変更点1:日本の登記事項証明書が必要

米国発行の資格証明書ではなく、日本の法務局が発行する登記事項証明書が必須となります。

なお、日本における代表者として別法人である「グーグル・テクノロジー・ジャパン株式会社」が登記されているため、当該代表法人の登記事項証明書も必要です。

 

変更点2:外国送達・翻訳が不要に

裁判書類の送付や送達はすべて、Google LLCの日本における代表者であるグーグル・テクノロジー・ジャパン株式会社の本店がある東京都渋谷区あてに行うことになります。

このため、外国送達や翻訳も不要となります。

 

変更点3:米国資格証明書も場合によっては必要

上記の通り日本の法務局が発行する登記事項証明書が裁判の附属書類として必要であり、米国発行の資格証明書は原則不要です。

しかし、一部の裁判所で、日本の登記事項証明書に記載されている法人と米国で登録されているGoogle LLCの同一性を確認するためとして、米国での資格証明書を疎明資料として提出することを求める例があることを確認しています。

裁判所からこのような疎明を求められた場合には、例外的に米国発行の資格証明書が必要となります。

なお、Google LLC.は、デラウエア州にて設立後、カリフォルニア州において州外会社として登録しカリフォルニア州を本拠地として活動しており、デラウエア州とカリフォルニア州に登録があります。

米国では種々のメリットから、デラウエア州でまずは法人を設立し、実際に活動する州において州外会社として登録をすることが広く行われており、Google LLCもこの方式を採用しています。

日本国内にて登記されたGoogle LLC.の登記事項証明書には本店としてデラウエア州の住所が記載されています。そのため、米国登録法人との同一性の疎明が必要となった場合、デラウエア州発行の証明書を用意すればよいと思われます。

また、Googleのサービス利用規約では、州外会社として登録されているカリフォルニア州の住所が明記されています。このため、サービスを提供しているGoogleと日本において登記されたGoogle LLC.の同一性を疎明するためには、デラウエア州の証明書に加えて、カリフォルニア州におけるGoogle LLCの証明書も併せて提出することになろうかと思います。

 

当センターの今後の対応

国内登記が完了して間もないため裁判所の運用も定まっていないところがあります。

せっかく日本国内登記が完了したのにもかかわらず、同一性証明のために米国発行の資格証明書が必要になるとすれば送達関係は楽になるとは言え、不完全燃焼感は否めません。裁判所の運用がいい方向で落ち着くことを期待したいと思います。

なお、当海外法人登記取得代行センターでは、Googleの国内登記完了に伴いGoogleの証明書販売を終了するつもりでしたが、上記の通り米国発行の証明書を要求されるケースが一部存在することに鑑み、当面の間、デラウエア州とカリフォルニア州のGoogle LLC.の資格証明書について販売を継続する予定です。
あくまで裁判所から求められるなど特別な必要性がある方向けの販売です。間違って購入なさらぬようご注意ください。

 
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